きつね色に炒めた玉ねぎ、トマト、ヨーグルト、スパイスを合わせた北インド風のソースで、鶏もも肉をじっくり煮込みます。
シナモンとカルダモンの香りを移した油で玉ねぎが色づき始めると、家中にもう夕食の香りが広がります。
そこへしょうが、にんにく、煮崩れるトマトが加わり、やがて深い赤色のソースが鶏肉を包み込みます。肉が骨からほろりと離れるようになったら、仕上げにフレッシュコリアンダーを。ソースをぬぐうためのナンに、早くも手が伸びます。この料理に必要なのは、深型フライパンの前で少し気長に待つこと。あとはスパイスが仕上げてくれます。

チキンカレーとは?
このチキンカレーは、パンジャーブ地方でタリワラ・ムルグと呼ばれる、北インドの家庭的な鶏肉のカレーです。できれば骨付きの鶏肉を使い、きつね色に炒めた玉ねぎ、トマト、ヨーグルトをベースに、ホールスパイスとパウダースパイスを効かせて煮込みます。
バターやクリームをたっぷり使うレストランのバターチキンやチキンティッカマサラに比べ、ソースは軽やか。家庭で作られる、日常のインド料理です。
「カレー」という言葉は、タミル語で「ソース」または「スパイシーなソース」を意味するカリに由来します。17世紀にイギリス人がこの言葉を取り入れ、インド亜大陸の汁気のある料理のほとんどを指すようになりました。ヒンディー語のタリはさらりとした香り豊かな煮汁、ムルグは鶏肉を意味します。つまりタリワラ・ムルグは、ごくシンプルに鶏肉のソース煮というわけです。
インダス川流域からロンドンの店先へ
しょうが、にんにく、ターメリックという組み合わせは、カレーという言葉よりもはるかに古くから存在していました。考古学者たちは、インダス川流域にある約4 500年前の二つの遺跡、ファルマーナとハラッパーで、歯や土器に残ったこれら3種類の植物のでんぷん粒を発見しています。
同じ村々では、レンズ豆、野菜、家禽として飼われた鶏も調理されていました。一方、トマトと唐辛子がアメリカ大陸から伝わったのは、16世紀になってからです。

カレー粉はイギリス生まれ。インドで味わった風味をイギリスでも再現できるように作られた調合済みのスパイスで、1784年にはすでにロンドンの香水店ソーリーズで販売されていました。
一方インドでは、ゴアのヴィンダルーからパンジャーブのチキンカレーまで、肉の種類や地域、家庭に合わせて、作り手がそれぞれのマサラを調合するのが一般的です。パンジャーブでは、タリワラ・ムルグは日曜日に家族で囲む昼食の定番で、バスマティライスや小麦の平焼きパンを添えます。
さらに南のケララ州では、ナダン・コジ(「田舎風チキン」)は違った趣になります。ココナッツオイル、カレーリーフ、フェンネル、黒こしょうを使い、最後に濃厚なココナッツミルクを加えるのです。
レシピを大きく変えずにココナッツの風味を加えたいなら、調理の終盤に加えるお湯をライトココナッツミルクに置き換えてください。同じ系統の味わいでは、タイのマッサマンカレーも、ココナッツミルクと穏やかなスパイスを組み合わせています。
チキンカレーの主な材料

鶏肉は骨付きの脚肉、または骨付きもも肉を選びます。骨がソースにコクを与え、肉はしっとりと仕上がります。細かく刻んだ玉ねぎは、しっかりきつね色に炒めることでソースの土台になります。
トマトが酸味を加え、ヨーグルトが全体をなめらかにまとめます。乳製品を使わない場合は、ヨーグルトをカシューナッツのペーストに置き換えられます。チキンコルマはこの発想をさらに発展させた、よりまろやかなナッツのソースが特徴です。
パウダースパイスでは、ターメリックが彩りを、コリアンダーパウダーがコクを加え、ガラムマサラが全体に温かみのある風味を添えます。カシミールチリは辛さを強くしすぎずにソースを赤く色づけ、スモークパプリカでも代用できます。個々のスパイスがそろわなければ、すべてをカレー粉で置き換えることもできますが、風味の輪郭はややぼやけます。
この料理の個性を生むのはホールスパイスです。ローリエ、シナモンスティック、クローブ、グリーンカルダモンを最初に油に入れ、香りを移します。しょうがとにんにくのペースト、切り込みを入れた青唐辛子、フレッシュコリアンダーが、その香りを引き立てます。チャナマサラ、アルーゴビ、パラクパニールも、同じように玉ねぎ、しょうが、にんにくをベースに作ります。
チキンカレーをおいしく作るコツ

味の決め手はブナオ。玉ねぎ、トマト、スパイスを、油が分離して浮いてくるまでじっくり炒め煮にして水分を飛ばす工程です。
玉ねぎを軽くしんなりさせただけではソースの味が物足りなくなりますが、しっかりきつね色に炒めると深い味わいになります。水分は熱いお湯を少しずつ加え、肉が骨からほろりと離れるようになったらカレーの出来上がりです。ご飯やナンと一緒に盛り付け、口の中をさっぱりさせるきゅうりのライタを添えてください。

材料
- 500 g 鶏肉 骨付きの脚肉またはもも肉がおすすめ(骨なしの鶏肉でも可)
- 3 大さじ 油 クセのないもの
- 3 玉ねぎ 細かいみじん切り
- 2 青唐辛子 縦に切り込みを入れる
- 1 大さじ しょうがとにんにくのペースト または、しょうが2 cmとにんにく3片をみじん切りにしたもの
- 2 トマト 中サイズ、ピューレ状にするか細かいみじん切り
- 60 g ヨーグルト またはカシューナッツペースト大さじ1.5、またはカシューナッツ12粒を水60 mlと一緒にミキサーにかけたもの
- 1 小さじ 塩
- 120-240 ml 水 温めておく(または低脂肪のココナッツミルク)
- 2 大さじ 生のコリアンダーまたはミント 細かく刻む
パウダースパイス
- 0.25 小さじ ターメリック
- 1 小さじ カシミールチリパウダー またはスモークパプリカパウダー
- 1 小さじ ガラムマサラ
- 1 小さじ コリアンダーパウダー
ホールスパイス(なければ省略可)
- 1 枚 ローリエ またはカレーリーフ1枝分
- 4 粒 クローブ
- 1 本 シナモンスティック 長さ5 cm
- 3 さや グリーンカルダモン
指示
- 深めのフライパンに油を入れ、中火で熱する。3 大さじ 油
- ホールスパイスのローリエ、シナモン、クローブ、カルダモンを加える。1 枚 ローリエ, 1 本 シナモンスティック, 4 粒 クローブ, 3 さや グリーンカルダモン

- 玉ねぎと青唐辛子を加える。3 玉ねぎ, 2 青唐辛子

- 玉ねぎがしっかりきつね色になるまで、7〜8分炒める。

- しょうがとにんにくのペーストを加え、香りが立つまで約1分炒める。1 大さじ しょうがとにんにくのペースト

- トマト、ターメリック、塩を加える。2 トマト, 0.25 小さじ ターメリック, 1 小さじ 塩

- トマトが煮崩れるまで加熱する。
- 火を弱め、ヨーグルト、カシミールチリパウダー、ガラムマサラ、コリアンダーパウダーを加えて混ぜる。60 g ヨーグルト, 1 小さじ カシミールチリパウダー, 1 小さじ ガラムマサラ, 1 小さじ コリアンダーパウダー

- 香りが立つまで弱火で加熱する。
- 鶏肉と生のコリアンダーを加える。500 g 鶏肉, 2 大さじ 生のコリアンダーまたはミント

- 鶏肉の表面が白くなるまで、中火で約3分炒める。

- ふたをして弱火で3〜4分加熱し、鶏肉にスパイスの風味をなじませる。
- その間に、別の鍋で湯を沸かす(お湯を使うことで鶏肉が硬くなるのを防ぐ)。120-240 ml 水
- ソースにとろみが残る程度にお湯を注ぎ、鶏肉から出る水分の様子を見ながら、さらに少しずつ加える。

- ふたをして、鶏肉が柔らかくなりソースにとろみがつくまで中火で煮る。肉が骨から離れるようになれば煮上がり。
- 味見をして塩で調え、ソースの風味が物足りなければガラムマサラを少量加える。
- 生のコリアンダーを飾る。
- ふたをして火を止め、ナンまたはご飯を添えて供する。