アーモンド粉とココナッツ粉は、そのまま互いに置き換えることはできません。アーモンド粉は水分をあまり吸収せず、ほぼ同じ体積で置き換えられますが、ココナッツ粉はその4〜5倍もの水分を吸収するため、レシピ全体の調整が必要です。選ぶ基準は、目指す食感。柔らかくリッチに仕上げたいか、密度が高くしっとりした仕上がりにしたいかで使い分けましょう。
ひと目でわかる比較表
| 比較項目 | アーモンド粉 | ココナッツ粉 |
|---|---|---|
| 吸水性 | 低〜中程度(約1:1) | 非常に高い(1:4〜1:5) |
| オーブンでの焼き色 | つきやすい。設定温度は160〜175 °C | 徐々につく。190 °Cまで対応 |
| 100 g当たりのカロリー | 575〜600 kcal | 350〜400 kcal |
| 100 g当たりのたんぱく質 | 21〜24 g | 18〜20 g |
| 100 g当たりの脂質 | 約50 g | 9〜16 g |
| 100 g当たりの炭水化物 | 約20 g | 約60 g、うち食物繊維35〜40 g |
| 向いている用途 | サブレ、タルト生地、フランジパーヌ、マフィン、パンケーキ、マカロン | 密度の高いケーキ、ブラウニー、バナナブレッド、クイックブレッド |
栄養成分の数値は目安です。ブランドによって異なり、特に粉の脱脂の程度に左右されます。
吸水性とオーブンでの焼け方
アーモンド粉
皮をむいたアーモンドを、油分を残したまま細かく挽いて作られます。そのため水分をあまり吸収せず、吸水性だけで考えれば、小麦粉と同じ体積で置き換えられます。ただし、生地の構造を支えるグルテンがないので、卵、サイリウム、キサンタンガムなどのつなぎは必ず必要です。
生地に追加する水分は、ごく少量で十分です。加えすぎると、油っぽく重い生地になります。一方、アーモンド本来の油分が焼き上がりの柔らかさを数日間保ってくれるので、前日に作っておくケーキにはとてもよく合います。
この油分とアーモンドの糖分によって、焼き色もつきやすくなります。サブレの縁のきれいな焼き色や、フランジパーヌの香ばしさはそのおかげです。ただし175 °Cを超えると、こんがりした状態からあっという間に焦げてしまい、中心に火が通る前に縁が黒ずみます。私は160〜175 °Cで焼き、焼き時間が30分を超えたらアルミホイルをかぶせています。
ココナッツ粉
ココナッツの果肉を乾燥・脱脂し、粉末にしたものです。食物繊維が非常に多く、小麦粉の4〜5倍もの水分を吸収します。アーモンド粉を100 g使うレシピなら、ココナッツ粉は30 gほどで足ります。
生地は最初、ゆるすぎるように見えますが、数分でかなりとろみがつきます。だからこそ、オーブンに入れる前に必ず5〜10分休ませることが大切です。そうしないと、まだ変化の途中にある生地の状態を見て調整してしまいます。また、ココナッツ粉を同じ重量で置き換えるのは、その配合で試作済みのレシピに限りましょう。そうでないと、パサパサで崩れやすいケーキになってしまいます。
オーブンでは焼き色がゆっくりつき、190 °Cまでの高めの温度にも比較的対応できます。ただし、落とし穴は別にあります。色が変わらないまま乾燥していくのです。表面は焼けているように見えても、中心はまだ湿っていることがあります。この粉を使うときは、ナイフやつまようじを刺して焼き具合を確認する工程を省けません。

どのレシピにどの粉を使うか
アーモンド粉は、リッチな生地やクリーム、ほろほろした生地に向いています。当サイトの7層のヴィーガンオペラの各層、洋梨のタルトやピスタチオ・アーモンドとラズベリーのタルトのフランジパーヌ、そしてレモンとポピーシードのケーキのきめの詰まった生地を支えているのも、この粉です。定番のマカロンにも欠かせませんが、当サイトの米粉のレモンマカロンのように、別の粉で作ることもできます。
油分が仕上がりの柔らかさを保ち、生地を重くせずに形を支えてくれます。風味も控えめなので、衣やキッシュ生地など、甘くない料理にもよく合います。
ココナッツ粉は逆の方向性で、密度が高くしっとりした仕上がりにしたいもの全般に向いています。とろけるようなブラウニー、きめの詰まったチョコレートケーキ、バナナブレッド、かぼちゃやズッキーニのマフィン、クイックブレッド、スコーンなどです。水分を保持するので、数日間しっとり感が続き、卵が十分に入っていれば食物繊維が生地の構造を支えます。また、アーモンドの風味なら負けてしまうような、チョコレート、バナナ、スパイスといった強い風味とも合わせられます。

失敗せずにレシピを置き換えるには
よく見かける置き換えの目安は、ほとんどが体積で示されています。換算でつまずくのはそこです。できれば液体も含めて、すべて重さで量りましょう。グルテンフリーでは20 gの誤差も取り返しがつきません。詳しくはグラム単位の正確な計量ガイドで解説しています。
小麦粉をアーモンド粉に置き換える場合:
- 小麦粉125 gに対して、アーモンド粉は約100 gが目安です。体積は同じでも重さは異なり、同じ体積ならアーモンド粉のほうが軽くなります。
- つなぎを加えます。粉100 gに対してキサンタンガム3 g、または卵を1個追加します。
- オーブンの温度を元のレシピより10〜15 °C下げます。
- 小麦粉よりも密度が高く、しっとりした食感になります。
小麦粉をココナッツ粉に置き換える場合:
- 小麦粉125 gを、わずか30〜40 gのココナッツ粉に置き換えます。
- ココナッツ粉30 gにつき卵1個、またはそれに相当する植物性の代替材料を追加します。
- ココナッツ粉30 gにつき、水分を約60 ml増やします。
- オーブンに入れる前に、生地にとろみがつくまで5〜10分休ませます。
どちらも、単独で配合済みのミックス粉を丸ごと置き換えることはできません。タルト生地やクッキーには、当サイトの増粘ガム・タピオカ不使用のミックス粉や、グルテンフリーのパート・シュクレで使うような市販のミックス粉のほうが、安定した仕上がりになります。パンにはさらに別の組み合わせが必要です。詳しくはグルテンフリーのパン用粉ガイドで紹介しています。

結論
どちらが優れているということではなく、用途が違います。クッキー、タルト台、繊細なケーキを作りたいとき、甘くない料理にも使える穏やかな風味が欲しいとき、置き換えの分量を調整しやすい粉が欲しいときは、アーモンド粉を選びましょう。密度が高くしっとりした仕上がりを求め、食物繊維を増やし、カロリーを抑えたいなら、ココナッツ粉を。ただし、ほのかなココナッツの風味が気にならないことが条件です。
わが家では両方を常備しています。まずは、アーモンド粉ならチョコレートと栗のビュッシュのように、手元の粉に合わせて作られたレシピから始めましょう。置き換えに挑戦するのは、焼く前の生地がどんな状態ならよいのかわかってからです。

よくある質問
アーモンド粉をココナッツ粉に置き換えられますか?
同じ重量では置き換えられません。アーモンド粉100 gに対してココナッツ粉30〜40 gを目安にし、ココナッツ粉30 gにつき卵1個と水分約60 mlを追加して、生地を休ませてください。こうした調整をしても、最終的な食感は変わります。マカロンやフランジパーヌのように配合が繊細なレシピでは、この置き換えはうまくいきません。
アーモンド粉とアーモンドパウダーは同じものですか?
ほぼ同じです。スーパーで売られているアーモンドパウダーは、皮をむいたアーモンドを挽いたもので、やや粒が粗く、油分が多い場合もあります。アーモンド粉として売られているものは、より細かく挽かれ、ときには一部脱脂されています。どちらも同じレシピに使えますが、細かいもののほうが生地のきめが均一になり、マカロンの表面もなめらかになります。アーモンドパウダーしかなければ、ふるいにかけて使いましょう。
ココナッツ粉で作るとパサパサで崩れやすくなるのはなぜですか?
原因は主に3つで、多い順に、水分不足、卵の不足、休ませる時間の不足です。ココナッツ粉は数分間にわたって水分を吸収し続けるため、混ぜた直後にはちょうどよく見えた生地も、オーブンでは乾燥しすぎてしまいます。4つ目に考えられるのは焼き方です。焼き色がつかなくても乾燥するので、色ではなく、つまようじを刺して確かめましょう。
どう保存すればよいですか?
アーモンド粉は油分が多く、酸化して傷みやすいので、密閉容器に入れて冷蔵庫へ。まとめ買いした場合は冷凍庫で保存しましょう。古い油のようなにおいがしたら、捨てる必要があります。そのまま使うと、仕上がり全体を台無しにしてしまいます。ココナッツ粉は湿気を避ければ常温保存できますが、空気中の湿気を吸いやすい性質があります。袋の口をきちんと閉じていないと、だまができ、正確な計量もできなくなります。
どちらの粉もグルテンフリーの食事に使えますか?
どちらも、もともとグルテンを含みません。ただし、重度のグルテン不耐症やセリアック病の方は、パッケージにグルテンフリーの表示があるか確認してください。穀類も扱う施設で製粉されている製品が多いためです。また、グルテンフリーだからといって、つなぎが不要なわけではありません。生地の構造を保つには、卵、サイリウム、増粘ガムのいずれかが必要です。
このガイドはシェフのRommel Reyesと共同で作成しました。シェフの活動はInstagram、Substackのニュースレター、YouTubeチャンネルでご覧いただけます。