中はふんわり、外はカリッ。薄く甘いクッキー生地で包み、美しい格子模様をつけた日本のメロンパンです。
ひと口かじると、甘い表面がビスケットのようにほろりと砕け、その下から、発酵でふっくら膨らんだ軽やかなバター風味の生地が現れます。内側はやわらかな繊維のようにほどける口どけ。ドーム状の表面に入った深い格子模様とざらめの結晶が、心地よいカリカリ感を予感させます。
メロンパンは、明治以降の近代化する日本で発展した甘いパン、菓子パンを代表する存在です。つまり、今でも町のパン屋で焼きたてを買い、温かいうちに歩きながら頬張りたくなるようなパン。西洋の調理技術を日本の味覚に合わせて取り入れてきた流れの中にあり、その流れは日本のカレーやオムライスに見られる洋食を形づくってきました。

メロンパンとは?
その名は、英語の「melon」と、ポルトガル語のpãoに由来する日本語のパンを組み合わせたものです。小麦のパンは16世紀にポルトガル人によって日本にもたらされましたが、西洋式の製パン技術が広く普及したのは明治時代以降のこと。当時、ヨーロッパの料理は日本人の好みに合わせて取り入れられ、洋食の形成にもつながりました。メロンパンも、そうしたローカルな再解釈の歴史に連なるもの。外国由来のパンを、食感を軸に日本らしく組み立て直したパンと言えます。
メロンパンは2種類の生地でできています。中心にあるのは、強力粉、牛乳、卵、砂糖、バターで作る、小さくリッチな発酵生地。外側には、タンパク質の少ない粉、バター、砂糖、卵を合わせ、場合によっては少量のベーキングパウダーを加えた、サクほろ食感の薄いクッキー生地をかぶせます。焼く前に表面へ格子状の切り込みを入れると、オーブンの中でパン生地が膨らみ、表面が張り、その切り込みに沿ってひび割れていきます。
伝統的な風味は、あくまで控えめです。バター、バニラ、カラメル化した砂糖、そして発酵由来のほのかな香り。メロン果汁も、ピュレも、メロン香料も入りません。一般的には丸い小ぶりのパンで、クッキー生地が上面を覆い、側面に少しかかる程度。底面はパン生地が膨らみやすいよう、むき出しのままにされることが多いです。仕上げにざらめをまぶすと、さらにカリッとした食感が際立ちます。理想は、香港の菠蘿包(ボーローバオ)よりもしっかりした、乾いてほろりと砕ける表面の下に、しなやかでほんのり弾力のある内側の生地があること。表面がやわらかいなら、どこかに原因があります。
アルメニアから関西へ、メロンパンの起源
メロンパンの歴史は、主に2つの説を通して語られます。東京でよく語られる、最もロマンのある説は、ホヴハンネス、またはイワン・サゴヤンという人物にたどり着きます。彼はフランスやウィーンの技術を学んだアルメニア人のパン職人でした。
ロシア革命の時代にモスクワ、そしてハルビンを経て、目黒に移り住んだとされています。その後、実業家の大倉喜八郎を介して帝国ホテルに招かれたともいわれます。サゴヤンはそこで働いたのち、自身のベーカリー「ムッシュイワン」を開いたとされています。
そこで彼は、ふんわりした発酵生地とカリッとしたクッキー生地を組み合わせた甘いパンを広める一助となったとされ、それがメロンパン、あるいはサンライズと呼ばれました。彼の影響はこの商品だけにとどまりません。弟子たちは日本の食パン、すなわち食パンの発展にも関わり、食パンはカツサンドやたまごサンドのような料理に欠かせない存在になりました。

一方、関西では別の物語として語られます。神戸では、金生堂というベーカリーが戦前に、クッキー生地の表面をもつサンライズと呼ばれるパンを販売していたとされています。その放射状の模様は、日本海軍の軍艦旗に着想を得たものだとされ、軍港や呉の造船所と結びつく海軍の象徴でもありました。
さらに、地元でいう「メロンパン」は、ラグビーボールのような紡錘形のパンを指すこともあり、その名前はメロン型、つまり洋食店で使われていた古いライス型に由来していました。特に神戸では、この名称が、クッキー生地をかぶせない、なめらかな表面の地域版を指す場合もあり、中には甘い白いんげん豆の餡である白あんが詰められていました。
海軍の町・呉では、1936年創業のベーカリー「メロンパン」が、また別の地元版を生み出しました。メロン型で成形し、カスタードクリームを詰めたパンです。つまり、放射状の模様は主にサンライズに結びつき、一方で呉のメロンパンは、型で作る形と中のフィリングによって特徴づけられます。
資料をたどると、起源はさらに複雑です。1931年には実用新案が登録されていますが、似たパンは大正時代の中頃にはすでに流通していた可能性もあります。科学ジャーナリストの戸島和子は、メロンパンの真実の中で、似たパンの一部をラテンアメリカ、特にメキシコの影響と結びつける説にも触れています。これはコンチャとの類似によるものです。
一方で、彼女はドイツ人捕虜が関わったという説については、確かな公文書上の証拠がないとして明確に退けています。時が経つにつれ、丸く、格子模様があり、クッキー生地をかぶせた東京型が全国的な基準として定着しました。一方の関西は、独自の名前、形、フィリングを保ち続けています。この共存が、地域によって呼び名の混乱を生むこともあります。
メロンパンの主な材料

- 強力粉:タンパク質が多く、ガスを抱え込むグルテンの網目を作り、内側の生地に弾力を与えます。よりやわらかく仕上げるために、少量の薄力粉を加えるパン職人もいます。カツサンドやたまごサンドの土台となる食パンに骨格を与えるのも、同じタイプの小麦粉です。
- 無塩バター:こね始めた後に加えることで、グルテンを壊さずに生地をしなやかにします。クッキー生地では、サブレのようなカリッとした食感と、焼いたときの豊かなバターの香りを生みます。マーガリンでも作れますが、口に入れたときの風味にはやはり差が出ます。
- 牛乳と卵:牛乳は水分を補い、乳糖とまろやかな乳の風味を加えます。卵は生地をまとめ、焼き色とやわらかさを与えます。合わせて使うことで、重くならず、しっとりやさしい口当たりに仕上がります。
- ドライイースト:生地にボリュームを出し、焼きたてのパンらしいほのかな香りを生みます。砂糖は発酵中のイーストの栄養になります。クッキー生地を軽くするためだけに使うベーキングパウダーとは、まったく別の役割です。
- 薄力粉(クッキー生地):タンパク質が少ないためグルテンが出にくく、食感はほろりともろく、決してゴムのようになりません。これがメロンパン特有のカリッとした食感を作ります。
- バニラ:クラシックな風味を決める香りです。レモンの皮を使うバージョンもありますが、比較的まれです。歴史的なメロンパンにメロンは入りません。緑色のものや果物の香りをつけたものは、現代的なバリエーションです。
- ざらめ:ドーム状の表面に散らす大粒の砂糖の結晶が、見た目のきらめきとさらなるカリカリ感を加えます。カラメル化した砂糖の香ばしさは、みたらし団子のような日本の甘味にも通じます。
本物らしさの目安と避けたい落とし穴
カリッとした食感は、メロンパンらしさを見分ける大切な目安です。表面がやわらかかったり、べたついたりする場合は、長時間プラスチック包装の中に入っていたことがよくあります。内側の水分がクッキー生地に移り、包装の中に閉じ込められて、本来ほろりと砕けるはずの表面をしんなりさせてしまうのです。メロンパンは、網の上で空気に触れさせながら冷まし、できるだけ早く食べると食感が最もよく保たれます。
全国的な基準となった丸いタイプでは、「メロン」は主に見た目を指します。深い格子模様、丸く盛り上がった形、ひび割れた表面です。地域によっては、この名前がパンを成形するために使うメロン型を指すこともあります。また、コープこうべの資料によれば、東洋系のメロンであるマクワウリを思わせる紡錘形を指す場合もあります。
緑色のもの、果物の香りをつけたもの、クリームやチョコレート、アイスクリームを詰めたものは、このパンが現代でも生き生きと進化していることを示しています。この変化は、どら焼きや餅のような日本の甘味にも通じます。
ただし、黒ごまペーストやタロイモペーストを詰めた現代的なアレンジの中には、歴史的な形から離れたものもあります。最も確かな目安は、軽やかな内側の生地、乾いてほろりと砕けるクッキー生地、そして最初のひと口から感じられるはっきりとしたカリッと感。そのバランスです。

材料
クッキー生地(2回分)
- 90 g 無塩バター 室温に戻してやわらかくする
- 100 g 細目グラニュー糖
- 1 全卵 室温に戻す(55〜60 g)
- 220 g 薄力粉 T45
- 40 g アーモンドパウダー 皮なし
- 2 つまみ ゲランドの細塩
パン生地(発酵種)
- 140 g 強力粉 タンパク質10〜11%
- 15 g きび砂糖
- 95 g 牛乳
- 1.5 g インスタントドライイースト ベーキングパウダー不可
パン生地(本ごね)
- 20 g 強力粉
- 40 g 薄力粉 T55、タンパク質10%未満
- 10 g きび砂糖
- 10 g バターミルクパウダー
- 3.5 g 塩
- 1 卵黄
- 20 g 牛乳
- 20 g 無塩バター 室温に戻してやわらかくする
仕上げ用
- 30 g グラニュー糖
アレンジ
- 5 g チョコチップ お好みで
指示
クッキー生地
- バターを計量して室温でやわらかく戻し、卵も室温に戻す。薄力粉、アーモンドパウダー、塩を合わせてふるう。90 g 無塩バター, 1 全卵, 220 g 薄力粉, 40 g アーモンドパウダー, 2 つまみ ゲランドの細塩

- バターに砂糖を加え、ゴムべらでなめらかなクリーム状になるまで混ぜる。卵を溶き、4〜5回に分けてバターに加え、その都度よく混ぜてしっかり乳化させる。100 g 細目グラニュー糖

- ふるった粉類を加え、ゴムべらで混ぜる。ある程度なじんだら手でまとめ、粉気がなくなったら手早く約10回こねる。

- クッキー生地を2等分し、ラップで包んで平らにする。すぐ使う分は冷蔵庫へ、もう一方は冷凍庫へ入れる。少なくとも1時間、できれば6〜8時間休ませる。冷凍した生地は、必要に応じて使用1〜2時間前に冷蔵庫で解凍する。

発酵種
- 牛乳を約30°Cに温め、イーストをふり入れてしばらく置く。強力粉と砂糖を混ぜ、ふやけたイーストを牛乳に溶かしてから、液体と粉類を均一になるまで混ぜ合わせる。140 g 強力粉, 15 g きび砂糖, 95 g 牛乳, 1.5 g インスタントドライイースト
- 粉気がなくなるまで約1分軽くこね、丸める。30°Cで約1時間、元の約1.8倍になるまで発酵させる。

本ごね
- 本ごね用の材料を計量し、バターを室温でやわらかく戻す。発酵種を約10個にちぎる。20 g 強力粉, 40 g 薄力粉, 10 g きび砂糖, 10 g バターミルクパウダー, 3.5 g 塩, 1 卵黄, 20 g 牛乳, 20 g 無塩バター
- 粉類、砂糖、塩、バターミルクパウダーを混ぜる。卵黄と牛乳を混ぜて粉類に加え、ざっとなじませる。発酵種を加えてこね、生地が8割ほどまとまったらバターを加え、なめらかな生地になるまでこねる。
- 一次発酵:生地を丸めてボウルに入れ、覆いをする。30°Cで約1時間、2倍になるまで発酵させる(フィンガーテストで確認)。
- 生地を6等分して丸め、覆いをして15分休ませる。

クッキー生地の準備(分割)
- 一次発酵の間に、クッキー生地を6等分する。それぞれ4〜5回こねて丸める。事前に準備しておく場合は、冷蔵庫でしっかり冷やしておく。チョコ入りにする場合は、クッキー生地にチョコチップを混ぜ込む。5 g チョコチップ

成形と仕上げ
- クッキー生地をそれぞれ、丸めたパン生地よりひと回り大きい円盤状にのばす。パン生地を丸め直してクッキー生地で包み、クッキー生地の面を上にして丸く形を整える。

- クッキー生地の表面に仕上げ用の砂糖を均一にまぶし、深く切り込みすぎないよう浅く格子模様を入れる。30 g グラニュー糖

二次発酵と焼成
- 30°Cで45分発酵させる(スチームなし)。発酵が終わるタイミングに合わせて、オーブンを200°Cに予熱する。
- オーブンを190°Cに下げ、軽く焼き色がつくまで13〜15分焼く。焼き上がったら網の上で冷ます。
Notes
- ふんわり軽く、しっとりやわらかなクラムを楽しむため、メロンパンはやや大きめに作るのがおすすめです。
- クッキー生地は、卵を半端に残さず使い切れるよう2回分の分量になっています。1回分だけ作る場合は、クッキー生地の材料をすべて半量にしてください。
- 仕上げ用の砂糖は、細かすぎるものより一般的なグラニュー糖がおすすめです。
- クッキー生地の休ませ時間が短いと、表面がよりサクッとし、焼成中にひび割れやすくなります。