お皿の上を飾る小さな緑の葉、見覚えはありませんか? それがシソです。まだ私たちの地域ではそれほど知られていませんが、見た目も香りもミントやバジルにどこか似ています。実はとても用途が広く、さまざまな料理に爽やかなアクセントを添えてくれる万能ハーブなのです。さっそく、その魅力を探っていきましょう。
シソとは?
シソは「南京紫蘇」とも呼ばれる香り高いハーブで、ミントと同じシソ科に属します。そのため姿形もよく似ており、鮮やかな緑色の鋸歯状の葉は一見ミントと見分けがつかないほど。アジアでは古くから 寿司 や 刺身 の添え物として用いられ、皿の仕切りとなって風味が混ざるのを防ぐ役目も担っています。
アジア料理店で目にしたことがある方もいるでしょう。シソは見た目や香りが良いだけでなく、防腐効果も兼ね備えています。葉に含まれるフィトンチッドが食材の劣化を抑えてくれるため、日本では生魚やシーフードを保存するときにも重宝されてきました。
シソの原産地は?
シソのふるさとは東南アジアで、ヒマラヤの麓からビルマ周辺にかけて自生していたとされています。“シソ”という名は「紫の草が蘇る」という意味を持ちます。中国や 日本 では古代から栽培され、食用や薬用に利用されてきました。1800年代にはアメリカへ渡り、当初は香辛料、その後は肉の防腐剤として使われた経緯から、英語圏では驚くことに “Beefsteak plant” と呼ばれることもあります。
シソにはどんな種類がある?
シソの葉は大きく分けて「青ジソ(緑葉)」と「赤ジソ(紫葉)」の2タイプ。普段目にすることが多いのは、言わずと知れた青ジソです。
色だけでなく、風味も二者二様。赤ジソはシソの原種とされ、青ジソに比べてやや強い渋みと苦味が特徴。その個性を生かし、主に天然の着色料として使われ、食材を艶やかな紫紅色に染め上げます。
一方、青ジソは食中毒の毒を中和すると信じられ、アジアでは古くから神聖視されてきました。
シソの味は?
青ジソは、柑橘を思わせる爽快さにシナモンやクローブ、パセリ、ミントの香りが重なった複雑なフレーバー。赤ジソはそれよりも土っぽく、ほのかにクミンに似た香りが漂います。
シソの効能は?
シソには抗アレルギー・抗菌・抗炎症作用があり、食べることで冬に流行する風邪やインフルエンザ、咳の予防に役立つといわれています。
さらに抗酸化物質とオメガ3脂肪酸も豊富に含み、心血管の健康をサポートしてくれます。
シソを料理でどう使う?
シソは単なる飾りではありません。寿司や temakis(手巻き寿司)、nems(揚げ春巻き)、phô(フォー)など、調理工程そのものに組み込まれることもしばしば。刺身を一枚のシソで包み、少量の sauce soja(醤油)につけて頬張れば、そのおいしさに驚くはずです。
シソは実のところ、サーモン、ブリ、マグロなど脂ののった魚や甲殻類と抜群の相性を誇るハーブです。ドリンクやフルーツサラダ、légumesサラダにひとたび加えれば、爽やかなアクセントがプラスされます。葉をそのまま衣にくぐらせて tempura(天ぷら)にするのもおすすめ。乾燥させて粉末にすれば、nouilles(麺類)、例えば zaru soba に振りかけたり、furirake(ふりかけ)、soupes et les bouillons の風味付けにも活躍します。アジアでは「シソ巻き」と呼ばれる料理にも用いられ、シソの葉で pâte de miso(甘味噌)にナスやローストしたクルミなどを混ぜた餡を包み、串に刺して揚げるのが定番。甘い料理にも塩気のある料理にも、シソの葉は自由自在に寄り添ってくれます。
シソの代用品は?
手に入らないときは、ミントで代用可能です。どちらもシソ科で似た爽快感を持つため、風味を大きく損ないません。タイバジルも同様に相性◎。さらに、ブドウの葉やコリアンダーも意外とマッチするので、状況に合わせて試してみてください。
シソはどこで手に入る?
シソの葉は多くのアジア系食料品店で、生、乾燥、冷凍のいずれの形でも購入できます。ただし乾燥品は生葉に比べて香りが弱くなるため、用途に合わせて選びましょう。
大型スーパーでも見かけることがありますが、在庫はまちまちなので要チェックです。
シソの保存方法は?
新鮮なシソは湿らせたキッチンペーパーで包み、密閉袋に入れて冷蔵庫へ。数日はシャキッと保ちますが、使いきれない場合は冷凍保存も◎。乾燥シソは直射日光を避け、密閉容器に入れて常温で保存してください。