日本では「七味唐辛子」と呼ばれ、文字どおり「七つの味を持つ赤い唐辛子」という意味です。七味唐辛子は日本料理の名脇役として、さまざまな料理の味を引き立ててくれる存在なのです。
そもそもトガラシとは何なのでしょう?
七味唐辛子は、その名のとおり七種類の素材で作られる、日本定番の万能スパイスミックスです。赤唐辛子、ミカンの皮(これがオレンジ色の理由)、白ごま、ケシの実、麻の実、海苔または青海苔、そして山椒(花椒に似た香り)で構成されています。
おにぎりや天ぷらに振りかければ、ピリッとした辛味とプチッとした食感が加わり、味わいがぐっと深まります。地方によってレシピはさまざまで、ニンニクやショウガを足すこともあれば、柚子の皮、紫蘇の葉、わかめを合わせることもあります。
トガラシのルーツはどこにあるのでしょうか?
専門家によれば、その歴史は16世紀にさかのぼります。最初は薬用として日本に伝わり、1625年、旧江戸で乾燥唐辛子のミックスが食品として売られたのが始まりとされています。
こうして七味唐辛子が誕生しました。現在も営業を続ける老舗「やげん堀」が考案し、約400年にわたり職人が手づくりのブレンドを守り続けています。それ以来、日本人は伝統料理に風味と温かみを添えるためにこのスパイスを愛用してきました。
トガラシの味わいはどのようなものなのでしょう?
トガラシは、ほどよい辛さに柑橘とゴマの香りが重なる独特の風味が魅力。スパイシーさの中にわずかな酸味とうま味が共存し、ミカンの皮のほのかな甘みが辛さをやさしく包み込みます。
トガラシにはいくつか種類があるのでしょうか?
実際にトガラシには複数のバリエーションがあり、多くはブレンドするスパイスの数がそのまま名前になっています。たとえば「一味」は純粋な粉唐辛子のみ、「七味」は最もポピュラーで七種類の香辛料を含みます。材料や配合を変えることで、風味や辛さを調整したサブタイプも数多く存在します。
たとえば、一般的な七味よりもはるかに辛い「鷹の爪」を使うブレンドがあります。また、紫蘇の葉や柚子、さらに山椒を利かせて爽やかな後味を強めたタイプも。伝統レシピを踏襲しつつミカンの皮の量を半分に減らした「ナナミ唐辛子」という変種も人気です。
料理には、どのようにトガラシを使えばよいのでしょう?
日本では、トガラシは万能調味料としてだけでなく、ラーメン、そば、うどんなど麺類のトッピングにも欠かせません。さらに、焼き鳥や牛丼などの肉料理はもちろん、魚のメインディッシュにも相性抜群。衣に混ぜたり仕上げに振りかけたりと、使い道は自在です。
トガラシの汎用性はまさに無限大。スープや出汁(たとえば味噌汁)にひと振りすれば深みが増し、今ひとつパンチのない副菜もたちまち主役級に。サラダや野菜炒めに散らすだけで、ほどよい辛味がアクセントになります。
あとはあなたの好奇心と創造力しだい。自由に試して、自分だけのお気に入りの組み合わせを見つけてください。
トガラシにはどんな健康効果があるのでしょうか?
多彩な素材を含むトガラシは、実は体にも嬉しいスパイスです。花椒などの辛味成分は血行を促し鼻づまりを緩和。ゴマはビタミンやミネラルが豊富で、ショウガ入りなら消化を助け関節痛の軽減が期待できます。また、ヨウ素と鉄分を多く含む海苔は、甲状腺機能と赤血球の生成をサポートすると考えられています。
トガラシの代わりになるものはあるのでしょうか?
トガラシ特有の辛味を完全に再現する代用品は多くありませんが、その一つがふりかけです。ふりかけには海苔やゴマのほか、乾燥魚、塩、味噌、ワサビなどがブレンドされています。
ただし、ふりかけはトガラシに近い風味を持つものの辛さは控えめなため、しっかりした辛味が欲しい場合には物足りないかもしれません。そんなときはナナミ唐辛子など別タイプのトガラシを選ぶのがおすすめです。ゴマの香ばしさが共通する中東スパイスのザアタルやドゥッカも、風味の近い代用品として使えます。
トガラシはどこで購入できるのでしょうか?
一般のスーパーマーケットではまだ取り扱いが少ないものの、専門食材店なら高い確率で手に入ります。オンラインショップでも、本記事で紹介したさまざまなトガラシミックスが購入できます。
トガラシの正しい保存方法は?
直射日光と湿気を避け、密閉容器で保管すれば、最長3か月は風味を保てます。