外はカリッ、中はクリーミー……日本のコロッケは、定番のポテトコロッケとはひと味違うおいしさです
日本料理では、コロッケは屋台でも親しまれるストリートフード。とはいえ、家でも一から簡単に作れます。
コロッケとは?
ご想像のとおり、コロッケは“ほくほく”のマッシュポテトがベース。ここまでは特別ではありませんが、面白いのはここから。炒めた牛ひき肉と玉ねぎを混ぜ合わせ、旨みを重ねます。

やや平たく成形し、パン粉(panko)をまぶしてこんがり揚げます。飾り気のない見た目ながら、もう食欲をそそります。内側のしっとりふんわり感と外側のザクザク感の強いコントラストが醍醐味。ひと口で満足感はあるのに、重すぎないのが良いところです。
ところで、“ほくほく”のピュレとは? 日本語では食感を擬音で表すことがよくあります。ケベックのプーティンに入るチーズの“スクイック・スクイック”のようなもの。決まった訳語はなく、言葉そのものがイメージを伝えます。食べた人だけが分かる心地よさ——ぜひ一度お試しを!
コロッケの起源は?
コロッケは19世紀末ごろ日本に伝わったとされます。すでによく知られていたフランスのクリーミーなクロケットの代わりに、じゃがいもを使った具として取り入れられたのが始まりでした。当時は西洋の影響が強かったものの、日本では乳製品が不足していたのです。

こうしてコロッケが登場しました。いわばポム・デュシェスの日本版で、味の面ではより魅力的——と言ってしまいましょう。コロッケはやがて、1900年代初頭の人気洋食の代表格となり、トンカツやオムライスと並ぶ存在になりました。
コロッケの主な材料

じゃがいも: 忘れられないコロッケにするなら、粉質の品種を。ふんわり軽い口当たりになり、肉や玉ねぎの旨みもよく吸ってくれます。
牛ひき肉: 伝統的なレシピでは牛ひき肉を使用。ここでは脂肪分20%〜30%のものを使い、パサつきを防ぎます。ほかに、豚ひき肉を使うものや、ベジタリアン向けに細かく刻んだシイタケで作るバリエーションも。
玉ねぎ: しっかり色づくまで炒めて水分を飛ばすと、全体の味がぐっと良くなります。
パン粉(panko): 軽くて空気を含んだフレーク状で、一般的なパン粉と違い、加熱後もしっかりサクサク感が続きます。
とんかつソース: 仕上げにとんかつソースをかけるのがおすすめです。
上手に作るコツ 日本のコロッケをおいしく仕上げるために
コロッケの醍醐味である食感のコントラストを出すには、まず“ほくほく”をしっかり作ること。心配はいりません。肝心なのはじゃがいもの品種選びです。日本でよく使われるのは「メークイン」と「男爵」の2種類。海外なら、ビンチェやシャルロットなど、マッシュに適した品種なら問題ありません。
じゃがいもは水からゆでるのもおすすめ。水とじゃがいもを同時に温めることで、形と食感が保てます。じゃがいもは密度が高く、中心まで熱が届くのに時間がかかるため、最初から沸騰した湯に入れると表面が先に崩れやすくなります。水からゆっくり火を通せば、外側が崩れる前に中までしっかり火が入ります。

また、調理中に水分を持ち込まないことも大切。まず玉ねぎはしっかり色づけて水分を飛ばします。ひき肉の煮汁は、じゃがいもに混ぜるときに加えないのがおすすめ。じゃがいもをゆでて湯を切ったら、弱火にかけた鍋の中で揺すって、水分を徹底的に飛ばしましょう。
マッシュを成形するときは、空気の隙間が入らないようにしっかり押さえてまとめます。こうすると揚げるときに崩れにくくなります。
俵形に成形したら、衣をつける前にしっかり冷まして休ませましょう。冷やして休ませることで、揚げている最中の破裂を防げるうえ、具材の味がなじむという利点もあります。

材料
じゃがいもと肉の具材
- 450 g じゃがいも
- 0.5 玉ねぎ 薄切り
- 0.5 大さじ サラダ油
- 250 g 牛ひき肉 脂肪20%
肉用
- 0.25 小さじ 塩
- 1 ひとつまみ 黒こしょう
- じゃがいも用
- 0.5 大さじ バター 無塩
- 0.25 小さじ 塩
- 1 ひとつまみ 黒こしょう
衣用
- 40 g 小麦粉
- 60 g パン粉
- 2 卵
- 揚げ用
- 油 鍋で油が5cmの深さになる程度
指示
じゃがいもと肉だねを作る
- じゃがいもを冷水で洗い、皮をむく。450 g じゃがいも
- じゃがいもはそれぞれ4等分に切る。 
- 大きな鍋に水とじゃがいもを入れ、ふたをして中火にかける。吹きこぼれを防ぐため、ふたは少しずらしておく。沸騰まで約15分。軽く沸く程度に火を弱め、竹串がスッと通るまで15〜20分ゆでる。 
- 同時進行でフライパンを中火で熱し、油を入れる。0.5 大さじ サラダ油
- 玉ねぎの薄切りを加える。0.5 玉ねぎ
- 玉ねぎが半透明でやわらかく、うっすら色づくまで10〜15分ほど炒める。焦がさないよう注意。コツ:コロッケがべちゃつかないよう、玉ねぎの水分をしっかり飛ばす。頻繁にかき混ぜず、しばらく置いてから混ぜることを繰り返すと、きれいに色づく。 
- 牛ひき肉を加え、木べらでほぐす。250 g 牛ひき肉 
- 塩こしょうで味付けする。0.25 小さじ 塩, 1 ひとつまみ 黒こしょう
- 全体を混ぜ、肉の色が完全に変わるまで炒める。火を止め、フライパンを火から外して少し冷ます。 
- 途中でじゃがいものゆで加減を確認する。太い部分に串を刺してスッと通ればOK。火から下ろし、湯をしっかり切る。鍋から落ちないよう、ふたで押さえながら湯切りする。
- 鍋を再び火にかけ、弱火で鍋をゆすって残った水分を完全に飛ばす(じゃがいもを焦がさないように)。目安は2〜3分。その後、大きなボウルに移す。 
- 温かいうちにマッシャーでつぶし、蒸気をしっかり逃がす。バターを加える。0.5 大さじ バター 
- 塩と黒こしょうを加えてよく混ぜる。0.25 小さじ 塩, 1 ひとつまみ 黒こしょう 
- フライパンの片側に寄せ、肉だねの余分な汁気を軽く押さえて取り除く。コロッケが水っぽくなるのを防ぐため。
- 汁気を切った肉だねをマッシュしたじゃがいものボウルに加え、混ぜ合わせる。 
成形する
- 具がまだ温かいうち(熱々ではない)に、長さ約7.5cmの楕円形に成形する。内部に空気が入らないよう注意する。 
- 成形したコロッケはバットや皿に並べ、かぶせて冷蔵庫で15〜30分休ませる。この工程は省かないこと! コツ:しっかり冷やすと揚げる際の破裂を防げる。中身が冷えていれば蒸気が発生・放出されにくい。もしこの工程を省くと、熱いコロッケは熱い油の中で内部温度が上がって蒸気が生まれ、衣に穴を開けて破裂してしまう。冷蔵庫で休ませると具材同士がなじむ効果もある。
衣をつける
- 小麦粉用のバットとパン粉用のバットを用意する。小さなボウルに卵を割り入れ、フォークで溶きほぐす。40 g 小麦粉, 60 g パン粉, 2 卵 
- コロッケに小麦粉をまぶし、余分をはたく。
- 溶き卵にくぐらせ、パン粉をしっかり押さえてまぶす。
揚げる
- 衣付けが終わったら、中鍋にサラダ油を入れる。コロッケがしっかり浸かるよう、鍋の深さ5cm以上の油量を確保する。油
- 油を中火で170〜180℃に熱する。コロッケは一度に2〜3個ずつ、きつね色になるまで2〜3分揚げる。コツ:片面が色づくまでは触らない。中身はすでに加熱済みなので、表面がこんがり色づけばOK。 
- 揚がったら網またはキッチンペーパーを敷いた皿に取り、余分な油を切る。残りも同様に揚げる。 
仕上げ・提供
- コロッケにとんかつソースをジグザグにかけて盛り付ける。
Notes
Nutrition
参考資料
このレシピのベースには英語ブログ「Just One Cookbook」を用いました。主な変更点は肉の脂肪分です。試作の結果、良質なバーガーと同様に、脂肪分20%(MG)程度までは、揚げている最中に過剰な脂が出てコロッケが破裂することもありません。ですが、25%、30%と増えるとコロッケが非常に崩れやすくなり、揚げるのが難しくなります。
もう一つ試したものの、一般的でない食材なので公開していないのですが、具にベトナムの乾燥・再水和させた豚皮の細切り(Da BI)を混ぜ込む方法もあります。食感が好きなら本当においしかったです。
 
        