クランチョ(学名 Eryngium foetidum)は、南北アメリカとカリブ海に自生する熱帯性ハーブです。香りと風味はコリアンダーに近いものの、細長くギザギザした葉が特徴。加熱しても香りが飛びにくく、強い風味で存在感を放ちます(一般的なコリアンダーは仕上げに散らすことが多い)。そのため、カリブ料理や中南米料理はもちろん、アジア料理――とくに タイ料理や ベトナム料理――でも広く愛用されています。
クランチョとは
「長葉コリアンダー」とも呼ばれるクランチョは、地際からロゼット状に葉を広げ、レタスを思わせる姿で高さは約30 cm、葉幅は最大5 cmほどに育ちます。セリ科に属し、ニンジン、セロリ、パセリ、パースニップなどの仲間です。芳香を生かして料理に使われるのはもちろん、伝統医療でも重宝されています。地中海原産のコリアンダーとは別種で、アメリカ大陸およびカリブの熱帯地方が原産です。
クランチョとコリアンダーの違い
植物学的には近い関係にあるものの、両者の外観は大きく異なります。クランチョは地際にロゼット状で伸びる細長い葉を持つのに対し、コリアンダーは小さな丸い葉が特徴。さらにクランチョは二年草、コリアンダーは一年草と生育サイクルも異なります。香りと風味もクランチョの方がはるかに力強いのが特徴です。
クランチョの味
クランチョの味わいはピリッとした辛味とほろ苦さが共存し、コリアンダーに似ながらもより濃厚で、ほのかなレモンの酸味も感じられます。しばしば「カメムシやトコジラミを潰したような匂い」と形容されるほど個性的で好みは分かれますが、その強烈な香りが料理に深みを与えてくれます。
クランチョは料理にどう使う?
料理には主に葉を使います。基本的にコリアンダーを使うほとんどの料理に応用できますが、香りが強いので代用する場合は少量から試してみてください。ベトナムのフォー スープ の一部レシピでは、コリアンダーをスープに煮出し、クランチョ(ngo gai)を仕上げにトッピングするなど、二つの役割が入れ替わることもあります。
また、タイ風ビーフタルタル に加えても、爽やかな香りがアクセントになります。
クランチョはどこで買える?
クランチョはコリアンダーほど流通しておらず、とくにカリブ海やラテンアメリカ以外の地域では入手が難しいハーブです。エスニック食材を扱う専門店や国際市場の方が見つけやすいでしょう。栽培自体は比較的簡単で、種子は通販などで入手可能です。
クランチョの保存方法
新鮮なクランチョはキッチンペーパーで軽く包み、ポリ袋または密閉容器に入れて冷蔵保存しましょう。調理直前に洗ってしっかり水気を切れば、適切な保存で約1週間持ちます。