ビャンビャン麺は中国中国中央部の陝西省が発祥で、ベルトのように幅広く長いその圧倒的なサイズから「ベルト麺」とも呼ばれます。
ビャンビャン麺は兵馬俑や秦の始皇帝ゆかりの地として知られる陝西省を代表する一品です。
私がこの麺に初めて魅了されたのはニューヨーク・クイーンズにある Xi’an Famous Foods です。クミンが香るその一杯は神レベルのおいしさ。フランスでもじわじわと人気が高まり、パリの Taverne de Zhao でも本場に近い味が楽しめます。
その名前が生徒の罰に使われる麺料理
興味深いことに「biang」の漢字は中国語で最も複雑な字の一つとされ、最大で68画、一般的な形でも58画に及びます。
あまりに複雑なため、四川省のある中学校では遅刻した生徒にこの字を書き取りさせる罰則があるほどです。
ただし標準中国語に「biang」という語義はなく、生地を作業台に叩きつける際に鳴る音を表した擬音語から名付けられたと言われています。
ビャンビャン麺の主な材料
唐辛子フレーク: 刺激的な辛味をプラスします。ラー油に混ぜ込むと味に奥行きが生まれ、食欲をそそる辛さに。韓国産 コチュガル で代用してもOKです。
花椒(ホアジャオ): 柑橘を思わせる香りと舌がしびれるような爽やかな辛味を添えます。麻辣の決め手で、唐辛子フレークの辛さを引き立てつつ調和させます。
黒酢: まろやかな酸味とコクをプラスします。通常の酢よりやさしい甘みがあり、辛味や塩味の食材と調和して料理に深い色味を付けます。
ライトしょうゆ: ラー油トッピングに塩味の芯を作ります。色が薄く塩気が強い分、ダークしょうゆより軽やかで、ほかの香味を邪魔しません。
小麦粉: たんぱく質含有量がおよそ11%のものがベストです。裏面の栄養成分表示で確認しましょう。目安としてはピザ用のイタリア産小麦粉が近い数値になっています。
レシピの出典
本来のレシピは工程が多く時間もかかるため、家庭ではなかなか再現しにくいのが実情です。そこでリサーチ中に見つけたChinese Cooking Demystified の投稿記事の手法を参考にしました。要は生地をこねては休ませる工程を何度も繰り返す代わりに、長時間寝かせることでアクティブな作業をぐっと減らすというアイデアです。
装備
- 1 Wok
Ingredients
- 200 g ピザ用強力粉 たんぱく質含有量が約11%のもの
- 0.5 小さじ 塩
- 100 ml 水
- 3 大さじ 無味無臭の植物油
ラー油トッピング用:
- 7 cm 長ねぎ ごく薄切り
- 2 にんにく(大粒) みじん切り
- 4 小さじ 唐辛子フレーク
- 0.5 小さじ 花椒 粉末
- 4 大さじ 薄口しょうゆ
- 1 大さじ 黒酢
- 0.25 小さじ 塩
- 5 大さじ 無味無臭の植物油
仕上げ用トッピング
- 1 チンゲン菜 食べやすい大きさにカット(お好みで)
- 仕上げ用の細ねぎ(小口切り)
指示
- ボウルに小麦粉と塩を入れてよく混ぜます。水を少しずつ回し入れ、そのつど手で粉となじませます。水はまだ乾いている所を狙って加えるとムラなく混ざります。
- 生地がまとまるまで約5分こねます。
- 生地にざらついた部分があれば指でつまんで寄せ、まとめます。作業台で軽く転がして表面を滑らかにし、方向を変えながら12回ほど押し伸ばしてください。
- 生地をボウルに戻し、大さじ3杯ほどの油を回しかけて全体をコーティングします。ふたをして室温で5〜10時間休ませます。
- 休ませ終えたら大鍋にたっぷりの湯を沸かしておき、麺が伸び次第すぐ投入できるよう準備します。
- 生地を大きな楕円形に均一に薄くのばします。まるでピザ生地を伸ばす感覚です。
- 生地を幅約6㎝の帯状に切り、長ければ半分に切ります。
- 必要に応じて麺棒で帯を軽く押して平らにし、中心を箸で押して浅い溝をつけます。
- 麺を掌に乗せ、親指で軽く固定しながら作業台に10回ほど打ちつけて引き延ばします。押さえ過ぎると切れやすいので注意。
- 中央の溝に指を通し、裂き広げながらさらに細長く伸ばします。最後に片端をちぎって離します。
- 麺を湯に入れ、浮き上がるまで約1分ゆでます。その間に次の麺を成形していきましょう。
ラー油トッピングの作り方
- 麺と一緒にチンゲン菜も入れ、45秒ほどサッとゆでます。
- ゆで上がった麺を器に移し、野菜と乾燥トッピングをのせます。
- しょうゆと黒酢を回しかけます。
- 油を約215°Cまで熱し、唐辛子とにんにくをめがけてジュワッとかけます。